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おおきに京野菜

鮮度も姿も美しく、素材の旨味そのままに、
四季を映す京料理。
その長い歴史に欠かせないのが、
旬の京野菜の持ち味です。

京野菜に携わる人々は、あらがえぬ自然と格闘し、
土に改良を加え、品種改良に取り組み、
その時々の要求にこたえる工夫を重ねて
洛東・洛北・洛西・洛南の異なる地形と風土を生かした
最適の野菜を育て、ブランド力を磨いてきました。

京野菜の定番は切り水菜と九条ネギ。
旬の時期は全国で人気があります。

加茂茄子・万願寺・伏見甘長・枝豆も
ブランド指定をうけています。

京野菜の卸に取り組んでいらっしゃる
谷口真基さんの案内でお会いさせていただいた京野菜の
栽培家お一人お一人に、固有のこだわりと
ノウハウがありますが、長年京野菜一筋に知恵をしぼり、
汗を流し、地道な積み重ねの日々を過ごしてこられたゆえの
穏やかな物腰と笑顔と心配り、そして静かな誇りは同じです。

辻音さんの黒枝豆

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洛南久我の地で40年、枝豆に取り組んでいらっしゃる辻勝次さん。一般の枝豆栽培から黒豆の枝豆(たんくろう)にきりかえたのが10年前。毎日100束の枝豆を出荷、9月中旬まで続きます。朝5時、枝豆の収穫が始まり、奥様が一本一本葉を取り、枝を整えて束に。できあがると冷蔵で鮮度管理、明朝の出荷を待ちます。

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連作で土がやせるため、砂・牛糞・堆肥を混ぜた土の入れ替えが必要になります。枝豆が最適な商品になるためには丈がポイント。高すぎず低すぎず、枝豆の丈をそろえる事が大事と辻さんはおっしゃいます。なるほど束になった枝豆は丈がそろって、ぷりぷりと実った黒枝豆のさやがたっぷりとついていました。

黒枝豆「たんくろう」の固定のファン増加に辻さんはうれしそう。祇園祭の季節が訪れるとお手みやげに重宝され、お中元にも用いられます。「がんばれ、たんくろう」。辻さんは枝豆のほか、はたけ菜・からし菜・キャベツにも取り組んでいらっしゃいます。

山田さんの小松菜と九条ネギ

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洛西,嵯峨広沢の地に山田耕司さんの畑があります。住宅開発が制限されてきたため、周囲には田畑が広がっている。以前はイノシシ今は鹿。せっかくの畑を荒らすため防御の線が走っている。それにしても広々としてのどかである。小松菜と九条ネギの美事に整って、いのちみなぎる畑に案内していただいた。

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ビタミンCとカルシュームに優れた小松菜は、さっとゆでてすぐに食べると素材の旨さが存分に味わえます。冬、霜が降りる頃から旨味がグンと増す。小松菜は比較的育てやすく、連作が出来るんだよと山田さん。葉色が薄い小松菜の好みが変化して、今は葉色の濃い物が求められるそうだ。問題は虫食いにあうと商品にならないこと。山田さんの小松菜は丈がそろって虫食いの後がない美しい京野菜と市場で評価を受けている。

山田さんの九条ネギは、暑さに負けずしゃきっと伸びるネギの種を選び苗を育てて植える栽培法で、種まきから出荷まで4ヶ月。草は伸びるとネギを倒し、害虫が表面を筋のように食い荒らし、根が水につかるとネギはくたっとしてして駄目になる。水捌けが大事だね。台風や大雨のほか、冬になると霜やけしたり、雪をかぶってしまうと商品にならないと、栽培のご苦労をさらりとお話いただいた。

尾崎さんは干し苗の九条ネギ

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京都特産の九条ネギは京野菜の定番で、葉と白い茎の両方を楽しめるブランド指定の葉ネギです。尾崎仁昭さんの畑は洛南伏見の緩やかな丘陵にあり、暑い日でしたが、風が渡ります。畑にご案内いただくと、縛ったネギが干してありました。

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干し苗といって,雨に打たせ天日にさらしてほおっておくとラッキョ(白い根の先端)が段々締まってくる。雨にうたせないと腐るんだね。20日ほど苗を干して、ラッキョがかんかちこになると植え付けられる。ほったらかしにされた間に干し苗はタフなエネルギーを蓄え、日持ちのするネギになるそうだ。植え付けてから30日から40日すると出荷できる九条ネギになる。尾崎さんの九条ネギは、しゃっきりすらりの美しい姿に生命力があふれている。

九条ネギと茎の赤いほうれん草を栽培されている尾崎さんはほうれん草は根が深い。フォークで堀起こすから夏場はしんどいね。ネギは根が浅いから楽だよとおっしゃりながら出荷の作業場へ。尾崎さんの奥さんとお父さんお母さんが出荷を担当されている。

一日の出荷はどのくらいですか?大体300~400束ほどかな。収穫したネギはどの程度商品になりますか?姿形と丈がそろったMを筆頭に四つに分別。残りは干し苗にするから捨てる所はないよと尾崎さんはにっこり。奥さんのアイデアになるネギキムチをいただいた。ほうれん草キムチはなかなかの一品だったそうです。九条ネギキムチの誕生、待っています。ありがとうございました。